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変わるもの。変わらないもの。 [#19 勝浦 太郎]

月曜日、サッカーはオフ。

業務を終え、スーパーで買った大量の食材を抱えて帰宅。

買った卵が割れないように、そっと荷物を置く。



真っ赤な夕日と回り続けるキッチンの換気扇。


私のクッキングタイムは始まる。

クッキングといっても、実際は、茹でているだけ。

鶏胸肉を茹で、卵を茹で、鯖を茹で、ブロッコリーを茹で、キャベツを茹で、米を五号炊く。

それぞれを容器で保存し、冷蔵、冷凍。

これで私の一週間分の弁当作りは完成した。

あとは、オリーブオイルと塩・胡椒をかけるだけ。

追加で、プチトマトや豆腐、もずくを持っていくだけ。



毎週同じものばかりつくっているから、私の料理の腕前の成長は停滞しているのではないかと思案する。

新たなメニューを考えないと。


気づけば、外は暗くなっていた。

あたりは真っ暗なのに、遠くの空だけはオレンジ色に輝いている。

あそこまで歩いていくとしたら、最低でも一年はかかるだろう。


紺色の空。遠くのオレンジ。回り続ける換気扇。



「もう一日が終わってしまうのか。」と、小さなため息とともに、スポンジに洗剤を足す。

簡単に取れそうな汚れほど、案外しぶといのだ。

丁寧にスポンジで擦り続け、皿が綺麗になったのを指の腹で触って確かめる。

蛇口を捻り、全てを水に流す。


また明日から一週間が始まる。

先ほど吐いた小さなため息を取り返すように、胸いっぱいに空気を吸い込む。


新たなメニューを思いついた。

明日は味付けを変えてみよう。

あと、さっきは料理の腕前の成長がなんだとか言ったが、よく考えると、

弁当を作る手際は良くなり、茹で加減も上手になっている。


一見するとわかりにくいが、ちゃんと成長しているではないか。と自分を納得させる。


キッチンの窓の方に目をやると、月が顔を覗かせていた。

三日月が少し膨らんだような、しかし、まだ半月には満たないような月だ。

ただ、昨晩の月より少し大きくなっている気がする。

あと何日後に満月になることができるのだろうか。


相変わらず、換気扇は休むことなく懸命に回り続けている。

0919.jpg

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勝浦太郎
背番号: 19
ポジション:フォワード
出身:神奈川県
所属チーム: 田園調布SC - 多摩ジュニアSC - 横浜F・マリノスプライマリーみなとみらい(上丸子小学校) - 横浜F・マリノスジュニアユース追浜 (獨協中学)- 三菱養和SCユース (獨協高校)- 中央大学- ソニー仙台FC


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